「交渉は創造である」読書メモ
交渉は双方向の営みだ。勝手にシナリオを描くわけにはいかない。交渉のテーブルの反対側に座るのが誰であれ、こちらと同じように頭が切れ、決意が固いかもしれない。また同じように過ちも犯すだろう。
交渉といえばロジャー・フィッシャーの「ハーバード流交渉術」が有名ですが、この本では不確実性の塊のような交渉をどう創造していくかという観点で考察されています。
気になった部分をメモしてみます。
メモ
交渉とは
- 交渉は動的な双方向のいとなみである
- 交渉につきものの不確実性や予測不可能性にうまく備え、対処するほど効果的な交渉ができる。
- 未来はもちろん、現在についてもすべてを知ることは不可能である。
- これまでの交渉学理論は暗黙のうちに変化のない静的な交渉環境を前提としていた。当事者同士の相互作用ではなく、個々の意思決定者に焦点を当てていたのだ。このため交渉の本質的特徴である「変化」によって生じる問題(そして機会)はほぼ無視されていた。
- 交渉では、自分の運命を完全にコントロールすることはできない。最終的な結論、そしてそこに到達する道筋は、交渉相手のニーズ、認識、性質にも左右される。
- 状況を完全に支配することは不可能であり、それを試みても自分を利することにはならない。
- どちらか一方の取るべき行動ではなく、双方向の作用(いわばダンス)に注目する、交渉に対する新たな考え方が必要だ。
- 交渉の成功には、運と能力の両方が必要だ。環境や交渉相手に関する運、そして状況を分析し相手に好ましい影響を及ぼす自らの能力である。
- 高度な戦略や人間関係の機微を学ぶ方法は2つあり、それぞれ相互補完的である。
戦略の基本
- 意識的かつ継続的な学習は、優れた交渉戦略に欠かせない要素である。
- 明確な目標があると、交渉に規律が生まれ、焦点がはっきりする。ただし、戦略の見直しを迫るような予想外の機会や障害に対してオープンな姿勢を維持することも大切だ。どちらにメリットがあるか、状況に応じて比較する必要がある。
- 戦略を練るうえでは、最も実現可能性が高い結果だけではなく、再考のシナリオと最悪のシナリオも検討しなければならない。
- 戦略を選ぶ際には状況を俯瞰し、仮説を検証する機会が生まれる方向を選択すべきである。
- 継続的に学ぶことで、機会をとらえて交渉相手の行動や認識を変える最適な方法や、必要に応じて相手の行動に合わせて自分が変わる最適な方法が分かる。
- 交渉が進む中で消滅する選択肢もあれば、新たに生まれるものもある。
戦術の要点
- 全体の戦略を左右する動的要因の多くは、その時々の細やかな相互作用に影響を受ける。
- 先述や相互作用は、全体戦略に役立ち、それと一貫性のあるものでなければならない。攻撃的駆け引きが建設的関係に繋がることはほとんどない。
- 交渉中は協力的かつ競争的な相互作用を通じて、ひたすら状況について学び、自分が変わり、相手を変えようとし続けなければならない。
- 学習とは「観察、分析、判断、 行動」継続的なプロセスである。
- 学習とは、単に交渉相手の本当の利害や想定してる選択肢(それに対応したアメとムチ)を明らかにすることではない。
- 正しい状況認識を維持するには、感情的にならず、冷静さを保つことが必要だ。
交渉の成功
- 交渉の成功を評価するのは難しい。
- 経験から学ぶにはコツがある。
- 交渉はキャリア及び私生活において繰り返し起こるプロセスである。
交渉という営みは流動的かつ考慮すべき要素が多すぎるので、かなり不確実性が高い領域なんですね。だからこそ、交渉にたけていればリターンも大きいんでしょうけど。
AIには最も代替されにくそうな領域ですね。